お祈りには欠かせない供物(バンタン)
バリ島の宗教・バリ・ヒンドゥー教は別名「お供え物の宗教」と言われるほど、宗教活動に供物(バンタン・Banten)は不可欠です。「トリ・サンディオ」などのように、供物を使わない宗教行為もありますが、ほとんどの場合、供物が必要と言ってもいいでしょう。
バリ島の「バリ」という言葉は、サンスクリット語の「供物」「いけにえ」を意味する「Bali」に由来すると言われています。つまり、バリ島そのものが神様に捧げられた供物であるんですね。だから、バリ・ヒンドゥーは供物が多い、なんとなく納得してしまう理由ですね。
供物は、宗教的に特別な日にお寺に備えるものだけではなく、毎日の生活の中で家の中や職場、お店など多くの場所にお供えします。
バリ島に来た時、飛行場内のあらゆる場所でチャナンと呼ばれる小さな供物を見る事でしょう。
また、街を歩いていると、お店や家の前に置かれたチャナンも目にすると思います。
このように、日常の生活でも必ず目にする供物・バンタンについて、ご紹介したいと思います。
バリ島の供物の種類
バリ島の供物の種類は、本当に星の数ほど沢山あります。
サラスワティーやガルンガンなど特別な日に捧げる供物、オダランや新月・暗月のお祈りの時にお寺に捧げる供物、結婚式やポトンギギなどの家庭の行事の時に捧げる供物、ささげる日、場所、目的によって供物は変わってきます。
さらに、土地・エリアによっても供物の形や中に入れるものが違ってきます。
ちょっと、代表的な供物をあげてみましょう。
- チャナン(Canang):各家庭で毎日のお供え物に使う供物。供物の中でもっとも基本的なものです。
- サイバン(Saiban):バナナの葉に炊き立てのご飯を載せたもの。
- セガハン(Segahan):地下の悪霊に捧げる供物。悪霊が好きな赤玉ねぎや砂糖などが入っています。
- チャル(Caru):家の浄化儀礼(ムチャル)などに使われる動物のいけにえ。犬などを使う事もありますが、焼いた鶏の肉を使う事が多いです。
- ゲボガン(Gebogan):オダランの時などにお寺に備える大きな供物。専用の台に、リンゴやミカンなどのフルーツを色鮮やかに積み重ねてタワー状にしたもの
他にも、ポンブルシアン、ブラス、アジュマン、トゥンパン、クロンポアン、ブヌッなど多くの種類の供物があります。
「この供物は何ですか?」と、時々旅行者に尋ねられますが、長期滞在していると言っても、外国人やヒンドゥー教徒以外の人には、供物の違いや種類はよくわかりません。
チャナン(Canang)
バリ・ヒンドゥー教徒は、このチャナンを毎日決められた場所にお線香とともに供え、聖水を振りかけます。
また、朝一番の炊き立てご飯をバナナの小片に載せたサイバン(Saiban)というお供え物も、毎日のように供えます。
大きな家では、毎日50か所以上の場所にこのチャナンやサイバンをお供えするそうです。
このチャナンを供える場所は、さまざまな場所です。
各家庭にある家寺(サンガ)や室内にある神棚のようなプランキラン(Pelangkiran)には、山のようにチャナンをお供えします。
他にも、電気のメーター、井戸水のポンプ、バイクや車、ガスレンジ、洗濯機などなど。
そして、庭や家の前の道路にもチャナンをお供えします。
チャナンのお供え先は家の中だけではありません。
道路が交わる三叉路や交差点は、安全を祈るための祠がありますから、そのような祠や交差点などにも毎日チャナンを供え安全を祈ります。
このように、毎日多くの場所に供えられるチャナンとサイバンですが、バリ・ヒンドゥーの考えでは、供える事が重要で、供えた後のチャナンやサイバンは、あまり重要に考えていないようです。
供えた後のチャナンは、その場にそのまま置きざりにされ、鶏や犬、猫がつついてしまいますが、全くお構いなしです。
もちろん、通行人が蹴飛ばしたり、踏んづけても関係ありません。
チャナンやサイバンはヤシの葉や花など自然に帰るものでできていますから、お供えしたチャナンはその後まとめて捨てられてしまいます。
道を歩いていて、思わずチャナンを蹴飛ばしてしまい、あわてている旅行者を時々みかけますが、悪い事でもなんでもありませんから、お気になさらずに。
寺院のお祭りや、大きな行事、お祈りの時に神様に供えた供物(ゲボガンなど)のお下がりは、お祈りの行事が終わった後、食べてよい事になっています。
こういうお下がりの事をルンスラン(Lungsuran)と言いますが、果物やお菓子、焼いた鶏肉、サテなどご馳走も多いので、ルンスランをみんなで頂く事も、お祈りの時の楽しみの一つとなっています
チャナンの中身
さて、毎日大量に使われるチャナンですが、どのように作られているのでしょうか?
チャナンは各家庭のイブ(お母さん)が市場からヤシやバナナの葉、お花などを買ってきたり、自宅に咲いているお花を摘んで、手作業で作っているんです。
家のテラスやガゼボ(東屋)などで、近所のおばさんたちとおしゃべりしながら、チャナンやお供え物を作る風景は、昔の日本の井戸端会議を思い起こします。
ただ、最近は共稼ぎで忙しくて作る暇がないとか、若い夫婦の場合作れないなどの理由からトゥカン・バンタン(Tukang bantang・供物屋さん)と呼ばれる専門家から買ってくる人も増えています。
チャナンですが四角いタイプと花型のタイプがあります。
四角いタイプを「チャナン・チュペール(Canang Ceper)」、花型のタイプを「チャナン・グア(Canang guak)」と呼びます。
どちらも、同じチャナンですが、チャナン・グアの方が、材料も、作る手間も少なくて済みますので、毎日のお供えにはこちらのタイプを使う事が多いようです。
チャナン・チュペールは、ヤシの葉で四角いお皿を作り、そこにバナナの葉を敷きます。
チャナン・グアは、細く切ったヤシの葉をお花の形に丸めます。
作ったお皿に、パンダン・ハルム(Pandang harmu)と言われる緑色の細い草と、お花、ポロサンを入れます。
家やお店などによってはさらに薄く切ったバナナやクッキー、キャンディーを入れるところもあります。
ポロサンとは、チャナンに必ず入れなくてはいけないもので、シリーの葉、石灰、小さく切った果物をまとめて木の葉でくるんだものです。
このポロサンはチャナンのどの位置に置いて、お供えする時どの方向を向くように供えるのか、ちゃんと決まっているそうです。
チャナンを作る時、ヤシの葉同士をくっつけるには、ヤシの葉の芯など自然のものを使っていましたが、最近はホッチキスなどを使うようになりました。
本来チャナンなどのお供え物は自然に帰るものばかりでしたので、そのままゴミとして捨てても問題なかったのですが、このように工業製品が使われるようになった事を問題視する人もいます。
チャナンのお供えの仕方
供物をささげるには、一定の手順があります。この手順は、各家庭でチャナンを供えるときも、儀式、祭礼でお坊さん(プタンダ、プマンクー)がお供え物を供えるときも基本的な部分で同じです。
毎日行われるチャナンをお供えする行為をムバンタン(mebanten)と言います。
(供物をささげる事をバリ語でマトゥルmaturと言いますが、毎日のチャナンをお供えする事はムバンタンと言うようです)
このムバンタンの手順を簡単に解説します。
まず、チャナンを所定の場所に置き、火を付けたお線香を添えます。
次に、お花を使ってチャナンに聖水を掛けます。これをシラット(silat)と言います。
そして、手で風を送るしぐさをします。これをアヤブ(ayab)といい、供物のエッセンスを神様に届けるために行うそうです。
この、供物にお線香を供え、聖水で清め、風を起こして供物のエッセンスを神様に届ける一連の流れは、チャナンを供えるだけではなく、すべての儀礼に見られる、献納の儀式だそうです。
このチャナンの供えるムバンタンですが、女性に限ったわけではなく、誰がやってもいいそうです。
ほとんどの家庭では、イブ(お母さん)がやっていますが、男性の方が行っても構わないそうです。
ただし、お寺に入る時と同じように、生理中の女性はムバンタンができず、また必ずサロン(腰布)とスレンダン(腰布)を着用しなくてはいけません。
このムバンタンのやり方やチャナンの作り方などは、各家庭でお母さんが子供たちに教えていくそうですが、ウブドエリアなどでは小学校でチャナンの作り方を教えるそうです。
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