インドネシアは、10月1日付で「ニューノーマル適応期における査証および滞在許可に関する大臣令2020年第26号」を発令しました。
この中で、ビジネス関係を中心に外国人へのビザ発給および入国規制の一部緩和を示唆しております。
今回の記事では、この大臣令の内容について簡単に解説いたします。
ニューノーマル適応期における査証および滞在許可に関する大臣令2020年第26号は、以下のリンク先に原本(英文・PDF)がございます
REGULATION OF MINISTER OF LAW AND HUMAN RIGHTS NUMBER 26 OF 2020 ON VISA AND STAY PERMIT IN THE NEW NORMAL
こちらは上記大臣令を和訳した在インドネシア日本大使館のページとなります。
新型コロナウイルス対策に係るインドネシア政府による入国制限措置(特定の目的のためにインドネシアを訪問する外国人への査証及び滞在許可発給:一部再開)
規制緩和の内容
インドネシアは2020年3月31日付の「外国人の一時入国禁止に関する法務人権大臣令(2020年第11号)」により、一部の例外を除き、外国人の入国並びにトランジットを禁止し、それに伴い、新規のビザ(査証)並びに滞在許可(KITAS,KITAP)の発給を停止していました。
しかし、今回の大臣令により、ビジネス目的を中心に一部のビザ(査証)、滞在許可の発給が再開され、外国人の入国が許可されるようになりました。
発給が再開された査証・滞在許可
査証(ビザ)
- 公用査証(公務に当たる政府関係者)
- 外交査証(外交官など)
- 訪問査証(シングルビジネスビザやソシアルブダヤビザ)
- 一時滞在査証(就労、リタイア、家族、婚姻、インベスタビザ)
滞在許可
- 公用滞在許可
- 外交滞在許可
- 一時滞在許可(KITAS)
- 定住許可(KITAP)
ビザ免除並びに到着ビザについて
観光目的の入国者へのビザ免除制度並びに到着ビザ(VOA)に関してはパンデミックスの収束が宣言されるまで発給停止となっております。
今回の大臣令の中には、ビザ免除、到着ビザに関しての再開は盛り込まれておらず、引き続き発給停止となっております
訪問査証について
訪問査証とは一時的な入国を許可するビザのことで、シングル・ビジネスビザやソシアルブダヤビザがこれに当たります。
今回の大臣令によって、これらビザ発給が再開されることになりましたが、以下のような目的で場合に限り発給されます。
- 緊急並びに急を要する業務遂行のため
- 商談を行うため
- 商品の購入の為
- 外国人労働者候補の能力審査の為
- 医療並びに食糧支援従事者
- インドネシア国内の輸送・交通機関乗務
このように、ビジネス関係の業務従事に限り査証(ビザ)の発給が許可されます。
観光や旅行、バケーションといった目的でのビザ発給、入国はまだ許可されておりません。
また、ビジネス関係と言っても、発給審査はこれまで以上に厳しいものになると予想されます。
一時滞在査証について
一時滞在査証とは、就労ビザやリタイアメントビザなどKITAS、KITAPを取得できるビザとなります。
今回の大臣令により、以下目的のビザの発給が再開されました。
就労を目的とするもの
- 専門人材として
- インドネシア領内の船舶等での業務従事者
- 製本の品質管理
- インドネシア支社における査察、監査目的
- 製品販売後のアフターサービス
- 機械の設置と修理
- 建設事業における一時的業務
- 能力審査に従事する外国人労働者候補
就労を目的としないもの
- 外交投資の実施(インベスタービザ)
- 家族との合流(家族ビザ・婚姻ビザ)
- 就労しない高齢外国人(リタイアメントビザ)
今回の大臣令について
インドネシアに限らず、多くの国では外国人の入国に対し厳しい規制を行っております。
しかし、コロナ感染が長引き、経済的にも多くの影響が出ていることから、ビジネス目的に限り外国人の入国を許可する国が増えてきました。
インドネシアも同様の理由から、ビジネス目的での入国制限をかなり緩和したと思われます。
ただし、観光産業が主なバリ島においては、買い付けなど輸出産業が活性化されるのは喜ばしい事ですが、観光客が戻らない限りは、島全体の経済の活性化は難しいと言えます。
そのため、観光客の受け入れ開始の早期化が求められますが、現在の世界的なコロナ感染状況を見ますと、まだ時間がかかると思えます。
それでも就労ビザをはじめ、家族ビザ、リタイアメントビザ、インベスタビザ等の発給が再開されたことは喜ばしい事です。
ただし、状況から考え、発給の条件や審査は当面かなり厳しいものとなるでしょう。